【全ての医学部で起こりうる】医学部の裏の実態から広島大学医学部121人留年について考える

hiroshima
今ネットで話題騒然としている、『広島大学医学部生121人留年へ』という事件について医学部生として考えてみたいと思います。

※14,2/19追記 こちらもどうぞ。
daigakubyouin
広島大学医学部121人留年についての新事実!!本当に怠惰だった可能性。追記

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広島大学医学部生121人が追試を落とす

Facebookをしていたら、突然この記事をいろんな人がシェアして、私の大学でもちょっとした話題になっています。
では一体どのような事件なのでしょうか。

大学の試験についての予備知識

事件を説明する前に、予備知識として医学部の形態について以下で長々と説明します。興味が無い人、とっくに知っている人は飛ばしてくださって結構です!

大学の単位の仕組み

大学では、単位と言うものが存在します。
これは、さまざまな授業をいろんな先生が大学で講義をしているのですが、その授業を合格し、その先生の講義を学んだ証として単位と言うものをもらえます。

単位には2種類あり
・自由に好きなだけ選べる単位
・その学部が必ずとらなければならない専門の単位

の2つです。

自由に好きなだけ選べる単位は医学部ですと、1年生、2年生のときに好きな単位を(一応ある程度の条件がありますが)30単位ほどとらなければ、3年生に進級できません。例えば、科学についての授業や文学の授業を医学部でも受講でき、単位として取得できます。

専門の単位とは、医学部ですと1,2年生のころは医学の基礎=生物的な内容がやはり専門ですし、英語も必修です。3~6年生では、自由に取れる単位はなく、全てが専門の単位となり、すべての授業が学校で指定され、その学年のうちに取得しなければいけない専門の単位が定められ、1つでもその学年の中で取得できないと留年となり、進級できません。

この専門の単位は、大学によってどの学年でやるかは違いますが、最終的にはどの医学部でも同じような内容の授業を受けることになります。

広島大学医学部生は何の単位を取得しなかったのか

広島大学では、この専門の授業で2年生次に解剖学という単位を取得しなければなりませんでした。
これは合格しなければ3年生になれないということです。

つまり、広島大学の2年生がみんな揃いも揃ってテストを落とし、留年の危機に瀕しているということです。

医学部の試験の詳しい流れ

それぞれの大学によって小さな違いはありますが、大きな枠組みは同じですので、それを説明します。

聞いたことあるとは思いますが、試験には
・本試験
・追試験
・再試験(再々試験、再々再試験も場合によってあり)

の大きく3つがあります。

本試験とは、一番最初に全員で受ける正式なテストです。
各大学によって、合格点数が決められており、この本試験と出席点や実習点などを考慮してまず、合否が決められます。

本当は、この時点で落ちた人は留年しなければいけません。
しかし、医学部の授業範囲はとても広く、解剖学などは人体の名前が英語で日本語で、昔はラテン語も含めて全部テスト範囲です。
本当に難しいのです。

またテストを忌引きや、インフルエンザや体調不良によって受けれないこともありますよね。

再試験とは、試験を忌引きや体調不良、JR等の遅れによって受けれなかった人が受け直す試験のことです。

追試験とは、試験を受けたが一定の合格点に達しなかった人が受け直す試験のことです。

これが一般的な試験の形態です。ですが、恐らくローカルルールと同じく、大学の伝統等で呼び方ややり方、条件が変わってくるとは思います。

追試験が何故存在するのか


他の学部でもそうだと思いますが、医学部の試験内容はとても難しいです。教科によっては、英語の500pもある教科書丸々一冊、テスト範囲なんてこともあります。
授業も3時間ぶち抜きで1科目を、週3でやったりします。

真面目に授業を受けていても、試験勉強をしっかりしていても、チョット筋違いな勉強をしていたら問題文全く理解できずに終わる事だってあります。
それで、一発で留年なんてことになったら、医者になる人が入学100名のうち10名ほどになるでしょう。

そんな人たちにもう一度チャンスをあげる、素晴らしいシステムなのです。笑
私もたまに引っかかって、追試を受けることもあります。汗

詳しい事件の流れ

ここからは事情を詳しく知らない人のために、どのようなことが広島大学医学部でおきたのかを説明します。

広島大学医学部の解剖学

広島大学医学部の問題では、解剖学の試験をみんな落としてしまったようです。
そんなに頭の悪い大学なのでしょうか。

いえいえ、そんなことはありません。
hensati
引用元:大学受験.com

御覧のとおり、日本全国の理系の大学の中で10位になるほど偏差値の高い大学です。倍率も4倍近くあり超難関大学です。

私の友達にも広島大学の医学部に行った人がいますが優秀でした。
彼らは広島の医療を引っ張るのですから飛び切り優秀に違いありません。

では逆に、そんな優秀な、過酷な受験戦争を勝ち抜いた121人が落ちてしまうほど、解剖学の試験が難しかったのでしょうか。

そんなはずは絶対にありません。

確かに、覚えようと思ったら、受験9科目全部の内容をはるかに超える文量を英語、日本語でおぼえなければなりません。

しかし、大切なこと、重要なことは限られており、それらを重点的にやれば確かに異常な量ではありますが、覚えられないことはありませんし、覚えなければいけないことでもあります。

ちなみに、広島大学では解剖学は人体構造学という名前で、5つに分けられていて、今回問題になったのは、神経解剖学という大脳や脊堆といった人体の中枢に当たる部分の機能の試験のようです。
cerebrum

事件の真相

話を本題に戻します。

そもそも、試験が難しいか、生徒たちが落とすかどうかの前に、広島大学医学部の解剖学試験には‘ある伝統’がありました。

それは

本試験と追試験がほぼ同じ内容の問題で構成されている

というものでした。
つまり、簡単に言えば

問題の難易度は関係なく、同じ問題をもう一度受ける

ということです。
つまり、そもそも絶対に落ちるテストではないと言うことです。
そこらへんの小学生捕まえてきても追試験には受かると言うことです。

医学部医学科には120名ほどいますが、連帯感はとても強く、イメージで言ったら1クラス120名の高校と同じ感じです。
もちろん、追試験を受けるころには、解剖学の先生でさえ書けないような超完璧な本試験の答案を学年全員が丸暗記しているでしょう。

今までは完全にそうだったようです。

しかし!広島大学医学部の解剖学教授は伝統に嫌気がさしたのでしょう。
こともあろうに、通告なしで伝統を打ち破り、追試の問題を本試とがらりと変えてしまったのです。

意気揚々とさっさと終わらして、学食でも食べようと考えていた広島大医学生が問題を見た瞬間青ざめている表情が目に浮かびます。

伝統ですので、みんな出ると信じていた、いやともすれば、先輩や同級から真面目に勉強しているやつをバカにする声も上がったはずです。そんな中、真面目に勉強するのは、純粋に医学を学ぼうとする学生だけでしょう。
そして、121人も留年候補になるのでした。

【事件知ってる人はここから】医学部の知られざる実態

上記で詳しく説明したのが、広島大学で起きた事件のあらましでした。では、この事件、広島大学医学部でしか起こりえない悪しき伝統なのか、というと、全ての医学部で起こりうる問題です。

私も医学生として、おびえております。

医学部の試験について

そもそも、上の「追試験は何故存在するのか」でも述べたとおり、医学部のテストはノーヒントだとしたら量が異常過ぎて一生終わりません。

ですので、大量の情報の中、ちょこちょこ先生が授業で大切なポイントを言うので絞りながら、それでも量は多いですが覚えていくのです。

医学部ほど過去問が充実している学部は無い

授業を参考にでるところを絞って勉強するのは、大学生として常識であり、全ての学部に共通して言えると思います。
しかし医学部では過去の蓄積である過去問が特に力を発揮するのです。

医学部では、先輩たちから代々受け継がれてきた過去問があり、科目によっては10年分以上あるものもあります。
また過去5年分もやって出た傾向をおさらいすれば、教科書を全く持っていなくとも合格点をとることはたやすいことなのです。

もちろん、問題は全く同じときも、少し変えてあるときも、がっつり変えてあるときもまちまちです。
また、似たような範囲の別の場所から出すなんてこともあり、正確ではないですが、まず過去問をやれば間違いありません。

なぜ過去問と被るのか

何で学生を育てる教授が作る試験で過去問と被ってしまうのか。
理由は3つほどあります。

研究が忙しくて学生に構ってらんない

winwin
特に国立大学の教授ともなると、公演会に自身の研究に時間はいくら合っても足りないはずです。その中で、数回の授業をし、その範囲の中で最適な問題を凝って作るのはとても大変な作業なのです。
ですので、過去問を流用し同じような問題を作るのは、忙しい教授にとってwin-winなのです。

追試験はするほうもやるほうも面倒

もう一つ面倒なのは、本試験で落ちた後、追試験を行いますが、はっきり言って教授は面倒で仕方ありません。
本試験を作って、採点して、落として、追試験するのは忙しい先生方も面倒なのでしょう。
なので、合格点分だけ過去問と被らして、追加の点数は出来る生徒だけ解けるという形にする教授もいます。

実習を繰り返すことは出来ない

例えば、医学部のメイン行事の1つに解剖実習があります。
これは生前の意志で、死後自分の肉体を大学に提供し、医学部生の解剖実習に役立てたいとする献体者の善意によって行うものです。

一説によると数が足りてないとか、余ってるとかありますが、これは法律でもとてもシビアなところで、2度はやらせてもらえません。もちろん、特例はいろいろあるんでしょうけど。
なので、そういうような実習が絡んでいると落ちづらいものもあります。

結局医学部の試験は難しい

いろいろ言いましたが、簡単な試験は、広島大学のように伝統にのっとって簡単なものもあります。しかし、たいていの試験は一夜漬けでは乗り越えられないレベルにはあります。

過去問5年解いて覚えるだけでも正直、そうとうな苦労ですし、その年の傾向によって(授業中先生が言った言葉をリサーチして)全然変わるので完全な信頼はできないのです。

他の学部はどうかは分かりませんが、大学の試験にしてはかなり難しい部類だと思います。
それに、学生教育に熱心な教授とかだと、毎年新作問題を作り、学生を苦しめる教授もいます。笑

これが本当に難しいので、そういうのに力を回すという意味でも、簡単な科目があると助かると言うのが医学部生の本音ではないでしょうか。

駄目な医者が蔓延するという不安は絶対に違う!

doctor
確かに、今回の広島大学医学部のように本試験と追試が伝統的にほぼ一緒というのはひどいことかもしれません。

しかし、追試はやっぱり、まるで同じじゃなくても、ほぼ本試験と似たような問題になることは多いです。一番難しいと言われている科目でさえ、その傾向は2割ほどありました。

けど、実際どんなに勉強しようとも基礎医学の内容はすっかり忘れてしまいます。そして、4年生から始まる臨床医学の勉強では、とても実践的な内容でそちらが臨床医には大切ですので、ある程度しょうがないのかなとは思います。

もちろん医学部の試験がいくら簡単だからといって、国家試験を突破して医者になるのですからまるで駄目な医者が蔓延するとも考えられません。

国家試験は合格率9割近くて、皆さん楽勝だと思っている方は多いと思います。
しかし、医学部生にとって国家試験に落ちることは丸一年の浪人を意味します。本当に無職になるのです。
医師として働けば1年目から何百万ももらえるのに、それがフイになりまた1年勉強し続けなければならないのです。

あんな難しい受験を突破した人たちが、そんな状況に追い込まれてなお1割落とすのですから、かなり難しい内容だと思います。そして、それをしっかり突破しているので、そんなにやばいことだとは思いません。

今後どうなるのか、どうすべきか

伝統を鵜呑みにしていた医学生も悪いと思いますが、通告なしに断行した教授もひどいとは思います。
せめて、通告しちゃんと勉強するように!と前もって言わなければしょうがないですよね。たぶん、私でも留年してました笑

あと、医学部は留年するのも実はなかなか大変で、1科目くらいなら、2回くらいある追試を落ちても、最後に教授と外部からなる委員会によって救済処置となる試験を受けることが出来ます。ですので、結果として、広島大学医学部生も留年しないと思います。笑

それに、こんなに大きな問題になったら学校にも苦情がくるでしょうし、医学部はそういうところを汲み取って動いているので恐らく救済処置があるでしょう。

それと、試験は本試験と追試験の丸被りはやめて一部にとどめておくぐらいの節度は必要だと思います。
けど、超難しい試験は勘弁してください。。。汗

【結論を簡単に書きます】要点まとめ

文章が長くなってしまったので、簡単に内容をまとめます。
ごめんなさい

・広島大学医学部に限らず全ての医学部で起こりうる
・医学部は範囲が広すぎて難しくてノーヒントじゃ無理
・伝統だからといって本試験と追試験が全く同じはひどいので、過去5年分から出すとか、少し変えるとかすべき
・学生時代の試験が簡単だからといって、国家試験を通っている限り、駄目な医者が増えるわけではない
・たぶん、広島大医学部生は留年しない

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